コンビニのおでん初体験

コンビニでおでんが売っていることは知っている。
寒くなると出回り、その温もり・美味しさのため、ファンも多いと聞く。
がしかし今まで私は、このコンビニおでんを利用したことはなかった。
理由は明白。
ほこりが舞っている(であろう)コンビニ店内で、開けっ放しのおでん鍋に作られ長時間放置されているおでんなんて食べたくない、と思っていたから。
この度その抵抗感が拭えたとか解決したとかではないのであるが、「ある時」…というか「先日ふと急に」その抵抗感よりも「でもあれ食ってみたい」という気持ちが勝ったのである。
この気持ちは食欲よりなにより好奇心に近い。


さて、いざコンビニでおでん鍋を目の前にしてみた。


グツグツグツ…


透き通る美しいおだしの中で、すっかり温もった様子で見るものを誘惑してくるおでん種たち。
お鍋の横には、メニュー表と大小のカップ・ふた…
「ふむふむ。TVなどで見た通りだわ。」
初めてのことに挑戦する時特有の、一度に情報が飛び込んできてややテンパる時こそ、ゆっくり動いて平静を装う、といういつものやり口で鍋の前に立ち尽くし、状況に追いつこうとする私。

するとそんな私に、コンビニ店員さん(ヤング)が声をかけてきた。

「お取りしましょうか?」

「!!!!!…………い、いえ?」


お、お取りしましょうか?…だと??

コンビニのおでんというものは自分で取るものではないのか?それが楽しくてみんなに愛されているのではないのか?それを取ってもらってしまったら、楽しさも美味しさも半減なのではないのか??
後ほど確認したところ、自分で取ってもいいし、店員さんに頼んでもいいし、自由意志なんですね。この時は「絶対自分で取りたい!」という気持ちも先行してしまい、驚きのあまり、やや挙動不審に。


ヤング店員さんの気の利いた申し出をなんとか回避し、再びおでん鍋に見入る私。

TVで人気だったのは、確かちくわぶやはんぺん、そして卵。卵はもちろん私も欲しい。あとは、むすび糸こんにゃくにするか昆布にするか。ん?これは…?だし巻卵?…え!!卵ってゆで卵だけじゃねーの!!?

とここでまた、コンビニ店員さん(年配)が、

「あの、お取りしますよ?(ニコ)」

「あ、大丈夫なんです。…ダイジョウブ…」


チキショウ。

ことさらゆっくりおでん種を吟味しているだけで、ひとりでおでんも掬えない半人前に見られるらしい。コンビニってのはその名の通り、現代社会の忙しなさの象徴だな。


そう、ちょうど私は重大なことに気づいたところだったのだ。


コンビニおでんの卵は、ゆで卵だけじゃない!


そもそもゆで卵は私にとって、おでん種の中でもマスト選抜メンバー。

この日も必ず掬ってやろうと思って、鍋の前に立ったわけだが…こんな展開は予想外だった。


よし!
ついに、私は掬う!コンビニのおでんを!!
小さいほうのカップを手に持ち、トングを構えて、いざ!


もっちりちくわぶ!
牛スジ串!
昆布!
そして、初対面のだし巻卵だああああああああ!!!!


小さいほうのカップがけっこういっぱいになった。

お会計をしてもらうために、このカップにふたをしないまま並んでしまってよかったのでしょうか?

ヤング店員さんがカップの中のおでん種をジッと見て、手早くレジに打ち込みお会計してくれ、ふたをつけてくれましたが。

この後は帰宅して食べる予定だったので、私はお箸も薬味ももらわずにコンビニを後にしました。

達成感でいっぱい。

そして、自宅でホッと一息つきながら食べた初めてのコンビニおでんは、とっても美味しかったです!

おだしは優しい味でした。もっちりちくわぶの名前通りのもっちりさにも感動しましたし、だし巻卵さんもとても気に入りました。

ふうむ。なるほど。これがコンビニおでん。

またひとつ浮世を知った私です。

KIMURA HARUKA

木村はるかが140文字をオーバーする時。

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