高野文子「るきさん」

高校の時、当時仲良くしていたKちゃんにある日から突然無視されるようになった。

女子、からの、無視、は別にこの時が初めてじゃない。
小学校でも、中学校でも、あった。
深刻なイジメとかではなくて、こういうのよくあるんですよ。ありますよね?ないかな?

まぁだから高校時代ですでに私は女子数名のグループで付き合うことにはすっかり辟易してて、そんな中マンツーマンのストレスフリーで仲良くできてたKちゃんだったのに、そのKちゃんにも無視され始めたんですよ。

「あー…、なんでだろ?」
と、もちろん寂しく思いながらも、とりあえず淡々と日々を過ごす。

で、ある日、他のクラスメイトから
「最近Kちゃんと一緒にいないけどどしたん?」と聞かれたんだけど、わからないので
「わからない。」
と答え、さらに
「私がいなくて彼女が不便でないといいのだけど」
と付け加えると、クラスメイトはなぜかちょっと引いて、
「そういう言い方、ひどくない?」
と言ってきた。

うるせえな。おまえに関係ないだろ。と思う。

だって、
まず、
自分が無視される理由がわからないのに謝れない。
さらに、
無視されているからといって、今も変わらずKちゃんのことが好き。
ゆえに、
自分といないことでKが過ごしにくくないか心配するのは自然なこと。

いったいなにがひどいんだよ?

と当時は思ったんだけど、まぁ言い方が可愛くなかったんだよねこれはきっと。
とにかく関係ない人になんたかんだ言われるのは嫌だったんです。

で、そのまま学校が冬休みに突入して、年が明けたらKちゃんから年賀状が届いた。

年賀状には
「私ははるかちゃんに最低なことをしました。本当にごめんなさい。」
と書いてあった。

「最低なこと」…?
=「突然無視したこと」かな?

と推理したけど、冬休み中は直接やりとりすることなくそのまま新学期へ。

始業式の日かな、
いつも待ち合わせして行っていた駅のホームでKちゃんと出くわした私は、お互い気まずいからすぐにはよく話せなかったので、自分がその時読み終わったばかりの本を差し出した。
それがこれでした。
フルカラーのマンガです。有名、だよね?
あっけらかんとしてて、ほんといい作品なんですよ。

「これ、面白かったから、よかったら。」

Kちゃんは「るきさん」を受け取ってくれて、数日後「とっても面白かったよー」と感想をつたえてくれて、それをきっかけに私たちはまた一緒に行動するようになりました。

もちろん、なぜKちゃんが突然私を無視するようになったのかという理由とか気持ちについてもふたりでよく話しました。
関係性、回復。

「るきさん」にまつわるKちゃんとの思い出。
急に思い出したので。


KIMURA HARUKA

木村はるかが140文字をオーバーする時。

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