『月への手紙』ライナーノーツにかえて…

2018年10月13日(土)・14日(日)の2日間、江戸川橋Gallery NIWにて、月猫フェスのスペシャルイベントとしてやらせていただいたリーディングパフォーマンスに起こしくださった皆さん、ご来場まことにありがとうございました。

私にとっては、今年初めての人前でのパフォーマンスでしたし、なにせとても小さな空間でしたから、お客様が近くて…!とても緊張してしまいました。
と同時に、ずっとそういう密な距離感でのパフォーマンスをやってみたかったので、とても楽しく、発見の多い充実した体験になりました。

あの空間を共有してくださったお客様には本当に感謝しています。重ねてお礼を申し上げます。

さて。

今回、作・出演した『月への手紙』という作品ですが、ある2人の人物の往復書簡を朗読する、という形式でした。

人物A→人物Bの手紙
人物B→人物Aへの返信

以降その返信が続く。。。

という応酬でシナリオは構成されています。
とてもシンプルです。

こういった形式のシナリオを、私は私の敬愛する脚本家:坂元裕二さんの『初恋と不倫』(リトルモア刊)という書籍で目にしました。(もっと以前からだれかしらやっているスタイルかもしれません)
この作品が大変面白かったので(オススメです!)、「私も書いてみたい!演じてみたい!」と思っていました。

今回のスペシャルイベントでのパフォーマンスの規模にほど良かったので、採用したというわけです。

手紙を書く時、会話よりも人は言葉を選びます。
手紙を受け取った時には、強い気持ちが溢れても、その返事を書く時には、ある程度自分の気持ちを整理して、「これを伝えよう」と決めて書きます。反面、書きながら気持ちが高まっていって、直接言えないようなことをつい書いてしまうこともあるかと思います。親しい中でも、デスマス調のかしこまった書き出しになったり、その中にふいにフランクな言葉遣いが混ざったり、そういった手紙の妙を、表現したいと思いました。

また今回は、リーディングパフォーマンスという長い片仮名の呼び方をしてますけれど、要は朗読です。
でも朗読っていうと、ちょっと堅いような気がして…若い頃から朗読をよく勉強してきたからこそ、日本語を読み聞かせてもらえる、という体験を、お客様にとって退屈なものにしたくなかったんです。

往復書簡…手紙の音読であれば、それは人間の会話に近いし、やりとりの中からふたりの関係性・ふたりに纏わる背景・ふたりの思いが、推理でき、聞いていて楽しいのではないか?
と考えました。

物語の内容・テーマよりも、そういった、私の日本語への思い入れで今回の作品はできあがっていったように思います。


最後になりますが、今回この企画にお声かけくださった月猫とリュート・坂本美里ちゃんに深く感謝します。
彼女の企画力、各アーティストへのケア、そして彼女自身のパフォーマーとしての吸引力へのリスペクトはもちろんですが、どんな時も周囲に敬意を持った対応を貫いてくれる姿のおかげで、私は迷いなくオファーをお受けし、のびのびと執筆・準備と本番を終えることができました。
美里ちゃん本当にありがとう。
並びに、リュート久野さん、素敵な演奏をありがとうございました。
パートナーとして共に立ってくれたかおるちゃん、これからもどうぞよろしく。

月猫フェスは、来週いっぱい続きます。
ぜひとも足をお運びください🌙🐱

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