「リトル・ダンサー」

こなーいだ、ミュージカル「ビリー・エリオット」を見に行きました。
赤坂ACTシアターでやってます。
長い長いオーディションが行われて、それを勝ち抜いた5人のビリーが見事に大役を務めてますので、興味のある方はぜひ。

私は、ふだんミュージカルをあまり見ません。
自分で「これは見なきゃ!」と奮い立って劇場へ足を運んだのも、実はこれが初めてかも??

なぜそこまで、このミュージカルを見たかったのかというと…

それは、このミュージカルの原作にあたる映画「リトル・ダンサー」が大好きだから。
大好きで、とても大切な映画なのです。
イギリスの炭鉱の街に暮らしてる少年ビリー。 お母さんを早くに亡くし、お父さんとお兄ちゃんとおばあちゃんとの4人暮らし。
この街に生まれた以上、将来は炭鉱夫になるしかないけど、当時炭鉱は長引くストで、その将来が明るいとは言えなかった。
ある日ビリーは、クラシックバレエに出会い、ダンスに魅了されていく。
しかし、くすんだ炭鉱の街の少年がバレエに憧れるなんて…おかしいし、苦しいし、周りに理解されるはずもなく…

と、いうような、物語。
小難しいところはなにもなく、シンプルで共感しやすいお話です。

ミュージカルを見て、尚更、私は映画「リトル・ダンサー」が好きになりました。

この映画の中で、少年ビリーのバレエへの情熱は抑えきれない『衝動』のように描かれています。
だれよりもビリー自身が、自分の中から溢れるバレエへの情熱に戸惑っています。
「なんでよりによってこんなものに出会っちゃったんだ?なんでこんなにどうしようも無く惹かれるんだ?」って、苛立って、混乱してる。
それが、すごくいいんです。
バレエの美しさとか、価値とか意味よりも前に、ただ身の内から沸き起こる得体の知れない情熱に引き摺られて、踊らずにいられない感じ。
それまで、抑圧されていたなにかがダンスを通して、ビリーの体から飛び出ていくんです。

またビリーは、年頃の男の子らしく終始不機嫌そうな顔をしていますが、家族をとても大切に思ってます。
ストの中で苦しむ家族にとって、自分のバレエへの情熱が如何に不当なものかわかる優しくて頭のいい子なので、一度はバレエを手放そうともする。

そんなビリーは、映画のラストで如何にしてダンスを獲得するのか…?
というところにも、とても普遍的な感動があります。

映画「リトル・ダンサー」には、人生で一番大切なものに出会ってしまった人の喜びと苦しみが等しく描かれています。
好きなものを追いかけて生きていくことが、けっして楽しいばかりではないということ、それでも理由もなく理屈でもなく魂がそれを欲するような感覚…

他人事ではなく、私に響いた映画だったのでした。

KIMURA HARUKA

木村はるかが140文字をオーバーする時。

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