ドラマ「家族ノカタチ」所感

ドラマをそう熱心に見るほうではないです。
でも好きな役者が多くキャスティングされていたり、注目している脚本家のものなど、なにか気になる時はチェックすることにしています。

2016年1月新番のラインナップでは、まず大好きな坂元裕二さん脚本のフジ月9「この恋を思い出してきっと泣いてしまう」に注目していたのですが、見逃し続きで乗り遅れてしまいました…残念!

その代わりよく見ていたのは、

TBS日曜劇場「家族ノカタチ」

です。
主演:
香取慎吾、上野樹里、西田敏行、水野美紀

それぞれの事情や理由があって結婚しない男女と、その周りの家族のお話。

わかりやすくて、真っ当で、説得力があって、共感できるドラマだなぁと思いながら見ています。
脚本は女性の方で、私は初めて聞くお名前でした。


「結婚出来ない」「恋愛できない」男女の物語って、ここ数年多いなと感じています。
「素敵な恋愛したいっ!仕事もガンバルー!」って感じの90年代トレンディドラマとは、現実社会のテンションが違ってきているからですよね。

「恋愛~結婚できない男女」を主軸にしたドラマの主人公たちはこれまで

(あくまで私の印象ですが!)

・恋愛に関心がなくて変わり者、オタクとかこじらせとか周りから厄介がられている
・恋愛も結婚もしたいが、自信や勇気がなく行動できない

というようなキャラ設定であることが大半でした。やはりこれは、現状「恋愛・結婚していない視聴者」からの共感を得るためなのでしょうか。

しかしそれを演じるのは、客観的に見ればどうしたって魅力的な俳優陣なので、ダメとかブサイクという設定で物語が進行するのにはやはり無理を感じていたのです。どんどん表現が漫画的になっていってしまう感じ。

そんなドラマを見ていると、そもそも、「恋愛しない」「結婚しない」「ひとりで生きている」って、そんなにダメなことなのか?という疑問が首をもたげてくるのです。

この「家族ノカタチ」も最初は「流行りの結婚できないダメダメ男女系ドラマなのかな?」と思っていたのですが、実際見てみると骨太でグッと見応えがありました。

主人公の2人には、「恋愛しない~結婚できない」事情・理由がしっかりあります。
それは、こだわりのライフスタイルであったり、過去の経験から来る堅い決意だったり。
仕事にも熱意と責任感を持ち、同僚たちと連携も取れる、社会性ある主人公たち。
そんな「恋愛しない~結婚できない」男女は現実にも多く存在します。

だからこそ周囲は「どうして彼・彼女は結婚しないの?」と疑問を投げかけたり、いい相手を紹介してきたりします。そして本人との間に摩擦が生まれドラマになります。
この流れがとても自然で、リアリティと説得力があるのが「家族ノカタチ」でした。

そして、継続してドラマを見るにつけ好感を持ったのが、主人公たちが劇的には変化しないこと(笑)
まんまと恋に落ちたりして「やっぱり恋したい!結婚は素敵なこと!」的な展開にはならない、ということです。

彼・彼女は、自分で考えて選んだ現状の人生に対して、意地も思い入れもあります。
経済力もあり、自分の価値基準もしっかり持った主人公たちは、そう安安と「恋愛サイコー!結婚するぞー!」とはなりません。
それぞれ、自分の人生と、関わってきた人のことを真面目に考えて出した結論として、今の「しない」人生があるのです。

だれもが結婚したいわけじゃないし、
結婚できないだれもが、臆病で経験が乏しいわけではないのです。
そして、ひとりで生きるにも、だれかと生きるにも、経緯と理由がある。

人はそう簡単には変わらないし変われないし、それでもすこしずつ和らいだり解けていく心の機微を丁寧に描いているドラマ。

まさに、日曜劇場。
大人向けの豊かなドラマだなーと楽しんでいます。
残り話数も僅かになってきましたが、頑なな主人公たちがこのあとどれだけ変化して、どんな人生を歩んでいくのが、最後まで見届けたいと思います。

KIMURA HARUKA

木村はるかが140文字をオーバーする時。

0コメント

  • 1000 / 1000