春の親知らず地獄、クライマックス。

「二回法でいきましょう。」
と先生は言った。

『二回法』っていうのは、親知らずを二度に分けて抜き去る方法。

初めに、歯の上部を切り取り、数ヶ月後浮き上がってくる(らしい)歯の下部(歯根部分ですね)を、抜くってのが手順。


でも、嫌じゃん。

二回も抜歯なんて。

その都度歯肉を切開しなきゃなんないんだよ?


なにより、「長きに渡り私を苦しめてきた親知らずとも今日でオサラバよーん!」とやっと覚悟を決めて、スケジュールも調整してきたので、予定を先延ばしにされることを受け止めきれない。

だから私は、抵抗を試みた。

『二回法』の二回目が3か月後に設定されていることもあり、

「その頃は舞台の稽古があって…」

と伝えると、

「じゃあ今日は上だけにして、下は二回法が可能なスケジュールを立ててもいいよ」

と先生。


こ、これは…

『二回法』は譲らない、という姿勢だね?


このままじゃどんどんスケジュールが後ろに倒れるだけで、いつまで経っても親知らずの苦しみからは解放されない…!悔しい!!


「痛い怖い思いを二度もしたくない」というのは、極めて切実な患者の願いなのですが、しかしもちろん先生も私を苦しめようとしているわけではなく、よくよくCTの結果を見て、

「一度で抜くのは、下顎神経に対してあまりにリスキー=麻痺が残る可能性がある」

と考えてくれたわけです。

『二回法』にして、すこしでも歯の下部が浮いてくれて、神経に支障なく二度目の抜歯ができたら、とても安全なわけ。


麻痺が残れば、表情や生業にも影響するもんね。


というわけで、私は『二回法』という先生の提案を受け入れ、いざ抜歯開始!!


まずは、左下。

麻酔、なんていうものも、こんな時でないとなかなかやりません。

左顔面がじんじんしてきて、感覚がなくなります。舌が思うように動かず喋りにくい。

麻酔のおかげで痛みは全く感じないけど、仰向けに寝かされた状態で、先生が次々と持ち替える器具をちらりちらりと見ていれば、だいたい自分がいまなにをされているのかはわかる。

「う、リアルに想像すんのはキツイ。麻酔、まじありがとう…!!」


やがて、

チュイィィィィィィーーーーーンンン、てな音をたてて、電動で歯を削るらしき器具を親知らずに当てられ、振動が体に伝わってくる。

こ、これが「歯の上部を切り取る」作業ですね?

当たり前だけど、硬い歯がスパっと切れるわけはなく、この先端の細い電動ノコのようなもので、すこしずつ削り切っていくような感じらしい。

これには結構時間を要した。

ついに切り取った歯の上部を先生は「ほら、こんな感じ」と見せてくださる。これは親切なのか??

無事に歯の切断が終わり、縫合。これにも「縫って、結んで」の繰り返しで時間がかかる。

すんなり抜けないってやっぱり大変なんだなぁ、と他人事のように思いながら、私はただ仰向けに寝ていることしかできない。


次に、左上親知らずの抜歯。

そう、上下一度にやっちまうってわけです。ハードだろう?

下に比べてこちらは素直にすぽんと抜くだけなので展開が早い。

それでも歯根部分がぐにゃりと曲がっていたので、先生は折らないようにかなり気を付けてくださったみたい。

「これで、折れてなければ、いける、気がする」と心境を実況しつつ…

そして見事、根元から抜歯!

「ほら、こんな感じで曲がってました」とまた見せてくれる。ねぇ、それ親切なの??


この左上ちゃんは、歯の一部分が虫歯っぽくなってて…凹んだ。毎日がんばって磨いているけど、やっぱり限界あるんだなー


次回の抜歯を予約して、お薬もらって、病院を後にする。

先生、ありがとうございました。三ヶ月後もなにとぞよろしくお願いします!


麻酔がとけてくる頃には、多少の腫れもおとずれた。

左頬になにか入っているみたいに、ぷくり。

鋭い痛みとかはないけど、外見的にちょっと残念さはありますね(笑)


そんなこんなで、2016年のGWは安静です。

面倒くさいけど、怖いけど、三か月後の抜歯もがんばります!!

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